正夢 (Masayume)
悲しい夢を見たんだね 君の心に空いた
穴を僕の投げた「おはよう」が通り抜けていった
君が心の奥に抱く癒える事のない傷は
夢の中でさえ生々しく痛みを放つんだね
まだ外は暗い 妙に目も冴えてしまったから
2人で朝陽を待とうか
正夢にならないように
どうか僕に話して 傷がぶり返さぬように
「ヒトに話すと正夢にならない」
そんなの迷信だって嘲笑って聞いてたんだけど
だいぶ明るくなってきた コーヒーでも淹れようか
今日は君の真似をしてミルク多めに注いだ
こんな風にして苦味がスッと薄まるような
言葉を魔法みたいに掛ける事ができたなら
君が笑顔を取り戻してくれないと
僕もちゃんと笑えないんだ
正夢にならないように
こびりついた寂しさを 離して欲しいけど
同じ痛みを知らない僕に
その傷を癒やす事はできないのかな
「私たちは同じ道を辿ってきた訳じゃない。
違って当たり前だし、同じ傷なんてないよ。
だからこそ私たちは惹かれ合ったんでしょう?」
泣きながら目覚める夜が
この先もきっとあるだろうけど
その時はまた今日みたいに
話して朝陽を待とう
正夢にならないように
僕も今日夢を見たんだ
無邪気な笑顔の君を
でも今日は話さないでおくよ
正夢になりますように