千夜一夜物語 (Senya Ichiya Monogatari)
砂の国で生まれた王女は
誰よりも好奇心旺盛
「眠れるまで楽しい話をして」
国中の兵士を集めた
戦いの自慢話や
年寄りの説教を聞いても
王女の心は微動だにしなかった
世界は退屈で満ちていた
荒れた砂地のような私の
この気持ちを「孤独」と呼ぶなら
裏側の世界のことは何と
呼べばいいの?
当たり前のことも何も分からないのに
知っているフリは出来ない
きっとこの砂が舞う世界に
光る星のような
意味を探し歩いているの
当たり前のことをあなたが知っているなら
どうか私に教えて
そしてこの砂が舞う世界で
三日月の灯で
聞かせてアラビアンナイト
砂の国の王女の元へ
一人の兵士がやってきて
見たことも聞いたこともない話を
眠るまで聞かせてくれた
群青の空にかかる虹や
魔法のような雪を見たこと
でもここでは世界中のどこよりも
美しい星が見えることも
荒れた砂地で出会った彼に
会えなくなると分からなくなるの
「愛しい」と「苦しい」がまるで
同じに思えるの
当たり前のことが分からなくなっていく時
ああ 恋をしているの?
まるでこの砂が舞う世界に
光る星のように
全てが輝いているの
嬉しいのに寂しくなって
悲しいのに愛しくなって
知りたいことを「知りたくない」なんて
言ってしまうことがあるの
空を飛んで魔法の絨毯に乗って
一体どこまで来たの?
ここは孤独の裏側の
世界のはずなのに
どうしてこんなに一人なの
当たり前のことが分からなくなっていく時
ああ 恋をしているの
窓を開けて星を眺め
ため息で砂が舞う
聞かせてアラビアンナイト